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「GHOST IN THE SHELL」2D吹替版 [(ネタバレ注意) プレイ日記]

改めて、今度は日本語吹替版版の「GHOST IN THE SHELL(以下「ハリウッド版」)」を見てきました。
先週は逆の印象だったのですが、今回改めて日本語吹替版で席を取ろうとしたら、まず好きな席を選び易いレイトショーは字幕版に占められておりまた日中上映であっても吹替版で3D上映されているのはMX4D版しかなく、別件で懲りていた私の選択肢には一般的な2D上映版しか残りませんでした。
まぁ今回は吹替版ですから、2D上映版の方がよりアニメの雰囲気に近いのかも知れないですけどねw
なお前回の3D字幕版はいきなり見に行ってしまったためのですが、今回は予め押井守監督による「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊(以下「押井版」)」を見てから赴きました。

そもそも私が劇場に赴く理由は自宅では味わえない迫力を求めているからで、まるで地上波放送を見ているかのように雰囲気をスケールダウンさせかねない吹替版はいつも避けておりました(既に本人の声じゃない場合も多い香港映画でさえ劇場では原語版を見てました)
増していつの頃からか主役クラスの声にアイドルや芸人などの素人を起用されるようになってからは、例えソフトを購入していたとしても吹替版は一度も見たことがないタイトルばかり増えてます。

しかし今回のハリウッド版に限っては、吹替版も←否、吹替版の方が好かったですね。

と申しますのも、広義に捉えれば上述したタレント起用と同じなのかもしれませんが、ハリウッド版の吹替えは押井版で声を充てていたプロが再集結してくれてたからです。
こうなると(予習して臨んだ影響もありますが→)仮に瞼を閉じて見たとしても「GHOST IN THE SHELL」の世界観がそのままで、吹替版独特の雰囲気も受け入れられました。
このなかで荒巻の声だけは唯一(←ただし押井版に登場していないキャラクターを除く)押井版と違ってましたが、本作で唯一日本語を話す有名な演者の声がそのまま使われてましたので(モゴモゴして少し聞き取り難いのですが)違和感などあるはずがなく、むしろハリウッド版でもいつもの本人だった彼の声をアニメの声に替えられた方が違和感があったのでは?←と思えるほど理想的なキャスティングでした。

それと吹替版のメリットはもうひとつ、映像に集中できたことです。
私は気に入った映画は幾度も劇場に赴いた挙句にソフトを購入して幾度も見返すことが多く、そうやって幾度も見返すことでセリフを覚えた最終段階(言語&字幕なし)に至ってようやく楽しめることが、今回は劇場の大スクリーンで早々に楽しめました。
当然のことですが、字幕を追う必要がなくなると、演者の些細な演技まで見れるのが好いですね(←本来は原語をそのまま理解できるのが理想ですが;)
3D字幕版でも充分に映像を堪能していた所存ですが、改めて吹替版で見たことで主演のScarlett Johanssonが如何に細やかに気配って演技しているのかがよく判りました。
彼女の演じた「少佐」ことMillaは、脳を残して完全に義体化されており、断片的な記憶しかないことで生じた自身への猜疑心からヒューマノイドとの違いを見出せず苦悩している(←物語上のテーマとして押井版より強く扱われている)という、難しい役です。
当然 顔も人工のMilla役に際して表情の変化による演技を封印されたScarlettは視線や所作に重点を置いた演技に徹底しており、その結果、劇中の表情や身のこなしからは女性ならではの繊細さや柔らかさが抑えられ、あのキレイな顔がなければまるで男性のような振舞いです(←敢えて誤解を恐れず極端にに表現すると、Scarlettマスクを被ったスーツアクターのようにさえ見えます)
しかも(制作者の嗜好によるものか)Millaはやたら服を脱ぐシーンが多いもので、実際はビッタリとした全身タイツを着込んでいたとは申せ一見すると全裸で殺陣回りしているようなシーンさえScarlett自身が演じているようなのです(←逆に着衣のままだと、せっかく本人が頑張ってるのに下手な代役に見えちゃったかもw)
オリジナルが存在する作品に出演するからにはオリジナルを超える心意気で臨まねばならず、Scarlettほどのキャリアを以てすれば断ることもCG含め代役を求めることも出来たはずで或いは日本なら事務所NGが出てもおかしくないシーンでも、彼女はプロとして周囲の期待に応えてくれているのです。

それでいて問題を解決した最後の抱擁シーンでは、相変わらず無表情でありながらまるで憑物が取れたように柔和な雰囲気へと豹変し、僅か一言のセリフとその僅かな変化だけで「少佐」の心情を演じきってました。


さて、では前回 先延ばししていたハリウッド版に対する感想を述べましょう。
とその前に。以下ネタバレを含みますので、「GHOST IN THE SHELL」を楽しみにされている方は、ココから先は読み進めないでください。

ハリウッド版が制作されると告知された際に、私が真先に思い浮かべたのが押井版でした。
そのため今回の再鑑賞に際しては3D字幕版を思い返しながら押井版を見て2D吹替版に臨んでいるのですが、前回「違う」と思った以上に違ってましたね。
まず映画の冒頭で表示される配給会社や制作会社ですが、ハリウッド版の冒頭ではPARAMOUNT PICTURESDREAMWORKSと共に中華系企業の上海電影集団と華樺伝媒(共にPARAMOUNTへの出資が報道されている)がクレジットされていて、まるで呉宇森監督作か李連杰主演作でも見に来たような気分にさせられます(←押井版の舞台も香港ぽい雰囲気だったので、本作に限れば意外に合ってます)。昨年「INDEPENDENCE DAY: RESURGENCE」を見に行った際にも感じたのですが、経済的に発展した中国市場は今後ますます意識されていくようになるはずで、増して期間を切られているとは申せ出資も受けているとなると、今後華僑の役者を目立つ役で出演させる機会が増えていくんじゃないでしょうか(←そのわりに本作は日本人演者の方が多く目立っちゃってるんですが;)
そしてその影響なのか「少佐」たちの義体を製造・補修していたのは、押井版は民間企業メガテクボディ社が官庁御用達の座を得ていたのに対し、ハリウッド版は政府に働きかけて行政機関を創設させられるほどの影響力を持つHANKA ROBOTICS(阪華精機)社に変更されています(←「HANFA」ではなく「HANKA」ってことは日系企業?)。「ALIEN」シリーズの日系企業と同じ感じですかね。
対して、押井版でも未来の東京と申しますより香港ぽかった都市の看板は簡体字の割合が増し(←押井版の中国語看板は殆ど繁体字)そこにハングルの看板まで加わって、また街の外国人(←特に西洋人)率がかなり高まっている印象です。
押井版は「企業のネットが星を被い電子や光が駆け巡っても、国家や民族が消えてなくなるほど情報化されていない近未来」が舞台だったはずで、ハリウッド版にも(姿は見せないものの)総理が在任されていることで「国家」の枠組みが残っていることは察せますが、「民族」についてはかなり入り混じった未来のようですね(←つか義肢の操作性も向上してきているようですし光学迷彩も実現しつつありますしネットは言わずもがなで、押井版の舞台にはそろそろ追いつけるかも?)
そして今回 改めて見たことで気付けた意外な点ですが、押井版・ハリウッド版ともその舞台が東京であるとは明言されてません。ハリウッド版によると日常的に難民が押し寄せているようで、或いは大災害か世界大戦並の混沌が起きたことで、現在とは違う地に都市機能を移転された未来である可能性だって充分に考えられますね。


ハリウッド版で「少佐」たちが追っているテロ犯「Kuze」について、先週3D字幕版を見た段階では押井版の記憶が曖昧だったため明確に「人形使い」と区分けできなかったのですが、もともとTV版に「九世英雄<クゼ ヒデオ>」というキャラクターがいたようですね(←私は見てなかったもので識りませんでしたm(vv)m)
ただWikipediaで確認した限りハリウッド版の「Kuze」とTV版の「九世」は明らかに別人物で、その犯行の手口からしてやっぱり押井版「人形使い」に近い印象です。
ただ「Kuze」には感情に基づいた動機と肉体があり、ネットワークが生み出した擬似的なゴースト(≒魂?)でしかなかった「人形使い」とは明確に違います。
この辺りは白黒ハッキリさせないと気の済まないアメリカ人ならではの解釈を垣間見ることが出来て、その辺りが曖昧だった押井版がよくも受け入れられたものだと驚かされます。
逆に哲学的でハッキリしない押井版へのアンチテーゼとしてハリウッド版が制作されたのかも?と考えると面白いですね。

結果としてハリウッド版「GHOST IN THE SHELL」は、押井版と共通する舞台・設定・演出を散見するものの至極明快な動機の上に起きた事象を描かれており、鑑賞後に観客ごとの解釈を求めた押井版と違って解り易い勧善懲悪の結末を迎えることで、まるでアメリカンヒーロー/ヒロイン映画のような終わり方をしています(←どこがどうだったのか具体的なところは敢えて伏せますが、制作当時は原作や押井版とも異なる展開の続編への可能性を残されていたのではないでしょうか?)
配給会社も主演女優も否定しているためその可能性は限りなくゼロに近くなってしまいましたが、誤った批判さえ浴びなければ、SeleneKate BeckinsaleのようにScarlett Johanssonの新たな当たり役になり得た可能性も充分にある作品だっただけに、勿体ないですね。
オリジナルとしてあの押井版が受け入れられている状況では最初から分が悪かったのかも知れませんが、単発映画としてみても女性主人公のSFアクションとして充分に楽しめる作品でした。
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